私はこれまで様々な業界のプロジェクトを経験してきましたが、キャリアのスタートは金融業界コンサル(FS)でした。
本記事では、
- 金融業界コンサルの業務内容は幅広いけど、どのような経験が積めるの?
- 金融業界コンサルになったらどのようなキャリアパスになるの?
- 金融業界の実務経験があるので、選考は金融業界コンサルにするべきか?
といった疑問に答えるため、金融業界コンサルの実態を解説していきます。
金融業界コンサル(FS)とは?
外資系総合ファームの金融業界コンサルは、銀行や保険などの金融業界のクライアントに対して「戦略立案のような上流工程の案件」から「システム構築のような実行フェーズの案件」まで幅広い案件を経験できる職種になります。
各ファームの採用は金融領域(FS)の中でさらに細分化されていて、「生損保向けコンサル」といった業界軸や、マネジメントコンサル・テクノロジーコンサルといった職種・ソリューション軸で分けられています。
中途採用者は基本的に何かしらの金融に関するバックグラウンドを持っています。
企画系の経験者より、営業系の業務経験を有する人の方が多いです。
金融業界コンサル(FS)のプロジェクトの特徴
クライアントの業界
金融業界コンサルは、主に銀行、証券、保険、カード、リース業界の企業に対してサービスを提供します。
近年では異業種の金融事業への参入が増えており、小売り業界やインターネット業界等の金融事業とシナジーを生みやすい異業種への支援も行います。
プロジェクトのテーマ
プロジェクトのテーマは業務・IT領域の構想や実行フェーズの支援が多いことが特徴で、事業戦略策定のようなピュアな戦略案件は他業界に比べて少ない傾向があります。
戦略、業務、IT系プロジェクトの比率は、
戦略系:業務系:IT系 = 1:3:6
くらいだと感じます。
このような特徴から、戦略部門のコンサルであっても業務・IT系の上流フェーズの案件や実行フェーズの案件にまで広く関わっている状況です。(さすがにシステム開発のPMO案件はやりません)
他の業界と比べて金融領域は戦略系のような上流工程のプロジェクトが少ない背景には、規制の関係で新規の事業を生みにくい環境があるからだと考えます。
そのため、デジタルを活用した業務改善プロジェクトの構想支援や実装フェーズの支援が多いです。
海外案件
グローバルな案件に関してもそこまでボリュームは多くない印象です。
国内の金融機関は成熟している企業が多いので、新規で海外に進出を支援するようなプロジェクトはほとんどないです。
海外現地法人のDX戦略策定やシステム開発関連の支援を行うプロジェクトがあります。
金融業界コンサル(FS)の年収とキャリアパス
タイトルと年収
金融業界から未経験で転職した場合、アナリスト・コンサルタントクラスからのスタートが多いです。
26,27歳まではアナリストスタートで、以降35歳くらいまではコンサルタントからのスタートが一般的です。
35歳前後になると、問題がなければ1年でマネージャーに昇格する前提つきでシニアコンサルタントクラスでスタートするケースが多いと感じます。
外資系総合ファームにおける金融業界コンサル(FS)の年収レンジは以下のようになっています。
役職 | 年齢 | コンサル経験 | 年収レンジ(賞与込み) |
アナリスト(アソシエイト) | 22~26歳 | 0~3年 | 400~700万円 |
コンサルタント(シニアアソシエイト) | 25~30歳 | 0~3年 | 600~900万円 |
シニアコンサルタント | 25~35歳 | 0~6年 | 800~1100万円 |
マネージャー | 28~40歳 | 2~10年 | 900~1400万円 |
シニアマネージャー | 32~45歳 | 5~15年 | 1300~1800万円 |
パートナー | 35歳以上 | 7年以上 | 2000万円以上 |
入社後はどのようなキャリアパスとなるか?
基本的に前職の業務知識をいかせるプロジェクトからスタートし、前職の業界を中心としたプロジェクトで経験を積んでいくことになります。
そのため強く希望しなければ、ずっと前職と同じ業界のプロジェクトになりがちです。
経営コンサルタントとして戦略・業務系プロジェクトの中でも上流工程の経験を積みたいと考えている人であっても、案件数が少ないことからシステム系の案件にアサインされるケースが多い印象です。
そのため、入社前に描いていた想像とは異なるキャリアを強いられるケースが多いように感じます。
ただしプロジェクトで成果を出せば、組織内で良い評判が広がって上流工程のプロジェクトにアサインされやすくなります。
金融業界コンサル(FS)は良い選択肢といえるのか?
金融業界のバックグラウンドがあり、前職の経験を最大限生かしていきたい方には最適な選択肢といえると思います。
一方で以下の志向を持つ場合、パフォーマンス次第では金融領域コンサルだと思うようなキャリアを歩みにくくなる可能性があります。
- いろいろな業界やテーマを経験したい
- 上流工程の案件を中心に経験したい
このような志向を持っている場合、以下の選択肢が考えられます。
- 金融業界に限定しないpool制のコンサルを受ける
- 金融業界コンサルとして経験を積んでから組織を移る
金融業界に限定しないpoolユニットのコンサルを受ける
主に30代前半までの若手に限られますが、poolユニットは業界を限定せず、幅広い領域、業界のプロジェクトを担当する組織です。
総合系ファームでは、デロイトトーマツコンサルティング(DTC) やベイカレントコンサルティングがpoolユニットでの採用を行っています。
金融業界コンサルとして経験を積んでから組織を移る
コンサル業界では組織を異動することは珍しくありません。
実際に私は様々な業界の経験を積みたいと考え、「通信・メディア・ハイテク業界」に部署を変更しています。
知見がある金融領域からキャリアをスタートし、コンサルのスキルを身に着けてから異動することは大きなメリットがあったと感じています。
最後に
コンサルでのキャリア形成に関しては、コンサル転職に強みのあるエージェントに相談することをおススメします。
選考に進まなくても全く問題はないので、情報収集やキャリアパスを相談する目的で気軽に利用することが可能です。
私も活用したことのあるおススメのエージェントをいくつか紹介します。